「養生訓」から読み解く江戸時代から現代に通じる健康習慣の基本形
江戸時代の医師である貝原益軒は、人間の健康を維持するために必要な生活習慣や食事法をまとめた「養生訓」という書物を著しました。
この書物は、現代の医学とも一致する内容が多く、日本人の健康観に大きな影響を与えました。
今回は、「養生訓」から学べる江戸時代から現代に通じる健康習慣の基本形について紹介します。
「養生訓」では、人間の体は四季に応じて変化すると考えられています。
そのため、季節に合わせて食事や睡眠、運動などを調整することが重要だと説いています。
具体的には、春は肝臓、夏は心臓、秋は肺、冬は腎臓の働きが強くなるとされており、それぞれの臓器に負担をかけないように気をつけることが勧められています。
例えば、春は肝臓が活発になるので、辛いものや酒を控えめにし、苦味のある野菜や果物を多く摂ることが良いとされています。
また、夏は心臓が強く働くので、暑さによる熱中症や脱水症状を防ぐために水分や塩分を補給し、冷たいものや甘いものを控えることが大切だとされています。
「養生訓」では、食事だけでなく、睡眠や運動も健康に影響すると考えられています。睡眠に関しては、昼寝は適度に行うことが良いとされていますが、夜更かしは避けるべきだと述べられています。
貝原益軒は、「夜更かしする者は百害あって一利なし」と言っており、夜更かしは体内の気血(エネルギー)の流れを乱すことで様々な病気の原因になると警告しています。
運動に関しては、「養生訓」では「動」と「静」のバランスが重要だとされています。
つまり、適度な運動は体を強化する効果があるが、過度な運動は体を消耗させることになるということです。
貝原益軒は、「動けば気血が通うが、動きすぎれば気血が散る」と言っており、運動量や強度は自分の体力や年齢に合わせて調整することが必要だと述べています。
以上のように、「養生訓」から読み解く江戸時代から現代に通じる健康習慣の基本形は、「季節に応じた食事」「適度な睡眠」「バランスの取れた運動」という三つの柱で構成されています。
これらの健康習慣は、現代の医学や栄養学とも一致するものが多く、現代人にとっても参考になるものだと言えるでしょう。貝原益軒は、「養生訓」の中で、「人間は自分の体を大切にしなければならない。
自分の体を大切にすることが、自分の家族や社会にも貢献することになる」と言っています。
この言葉は、今も昔も変わらない健康の真理だと思います。
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